牡蠣にあたる
広島にいる弟のところに、父と訪問してきました。
元来私は旅行があまり好きではないので、あまり乗り気ではなかったのですが、盆と正月くらいにしか会わない、仲のいい兄弟の顔を見るのもよいかと思い、行くことにしました。
今、広島では牡蠣が旬を迎えています。父の目的は弟に会うことよりも、そこにありました。無論、私も牡蠣は大好物です。
3人で生牡蠣やらワイン蒸し、アヒージョ、クラムチャウダー等々、様々な調理をされた牡蠣を堪能しました。
2軒ほどバーなどをはしごしたのち、ホテルに帰って、「明日は牡蠣船に乗るぞ」などと父はのたまいながら、三人でシャンパンを飲みました(酒飲み一家)。
疲れもあってか、私はソファーでいつのまにか寝ていました。
12時ごろに起きると、父も弟も寝ていました。
酔いも覚めていたので、お風呂に入って、寝支度をし、ベッドに入って携帯を少しつついていました。
そのとき異変が起きました。
胃のあたりから、巨大な流れのようなものがこみあげてきました。
トイレにダッシュする他に、私には選択肢がありませんでした。
最初はいつもの酒の飲み過ぎかと思いました。
でも、出すものももうなくなり(汚くてすみません)、胃液らしき苦いものを垂れ流し始めてから、酒酔いでここまでなったことあったっけ、なにかがおかしい、と思い始めました。
それに酒酔いだと激しい頭痛の方によく悩まされるのですが、頭痛がまったくしないのです。
ただただ胃がクーデターを起こしている。もはや君は私の全てだ。
酒酔いには水を飲んどけば間違いない、と、少し吐き気を我慢して水を飲んでみました。
その瞬間、再び巨大な流れがこみあげてきました。私はマーライオンになりました(度々汚くてすみません)。
こ れ は 食 あ た り だ・・・!
牡蠣にあたってしまった・・・!
こんなに牡蠣を愛する私が、牡蠣に嫌われるはずはないと、自信満々に生きてきたのに、とうとう牡蠣にあたってしまった・・・!
激しい嘔吐感で、食あたりの解消法をググる余裕もなく、取り合えず水を飲み、マーライオンを繰り返して、体の毒素を洗い流してみることにしました。
それはそれは、胃や食道やのどにともなう痛みや、嘔吐という作業に付随した感情をともなわない号泣や、吐くために力を振り絞る腹筋の疲労など、体中が苦痛と闘っていました。
胃洗浄ってこの比でないくらい苦しいんだろうな。オーバードーズなんて死んでもやるもんじゃねぇ。などとばかげたことを思いました。
何度か自己胃洗浄(?)を繰り返し、体力も尽きて、でも吐き気はおさまらないので、何があってもいいように、トイレの側に横たわることにしました。
ホテルの人には迷惑なのを承知で、枕と布団をバスルームに持ち込みました。
連休中で宿がなかったらしく、父は奮発してセミスイートの部屋を予約していました。その豪華な部屋のスプリングのきいたベッドではなく、私は無駄に広いバスルームの、硬くて冷たい石の床に体を横たえ、天井を見上げていました。
床の冷たさなのか悪寒なのか、震えながら、これまでにこの部屋に泊まった客で、バスルームを一番満喫しているのは私に違いない、などとばかげたことを思いました。
何度か嘔吐を繰り返し、疲労が限界にきていた私は、気を失うようにバスルームで寝ました。
夢を見ました。
父と弟と三人で、インド人のやっているカレー屋で、本格的なインドカレーを食べました。
会計をしに私がインド人の店員さんのところへ行くと、「59420円」と書かれた紙を見せられました。
まじか!そんなお金持ってない!と、とりあえずクレジットカードを取りに席に戻りました。
すると、父が、カレーがそんなに高いはずがない、と店員さんに怒りだしました。
店員さんが、「インカの目覚めが高騰していて、僕たちも苦しいんだよ・・・」と、悲しそうな顔をしました。
私は、カレーにじゃがいも入ってたっけな、入ってなかったよな。つけあわせにあったかな。やっぱインカの目覚めって高級なんだな。
と、のんきに考える、というところで目が覚めました。
夢までばかげている・・・
嘔吐感でそんなに深い眠りにつけるはずもなく、そのまま朝を迎えました。
起きてトイレに来た弟に発見され、たいそう驚かれました。
嘔吐感はあるもののこみあげることはなくなり、なんとなく胃がだるい感じと、手足のしびれが残って、徐々に回復していきました。
父には申し訳なかったのですが、もちろん牡蠣船には行きませんでした。
大好物を一個失ってしまいました。
ほんとうにかなしい。
と思っていたのですが、吉高由里子ちゃんのこのツイートを見て、もう自分は牡蠣の姿も見たくない程に、牡蠣のことを嫌いになってしまったことに気づきました。
ぞっこんぞっこん あたってもこりない 痛い思いしてもこりない もう何も怖くないわ もう吸い付きたいの 舌触りが堪らないわ お口の中で 暴れても構わないわ はい すいません こりません 堪りません ぞっこんぞっこん pic.twitter.com/nZ4dH0e9fJ
— 吉高由里子 (@ystk_yrk) 2014, 11月 23
私はあたってこりました。痛い思いしてこりました。
牡蠣よ、あなたが怖いです。
美しく乳白色に輝く、口に入れるとミルクのようにうまみが広がる、あなたが怖いです。
もう牡蠣なんて食べないなんて ここに宣言するよ絶対。